Cadence® Celsius™ Thermal Solverは、ICから物理エンクロージャまでの電子システムの全階層向けの業界初の完全な電気・熱の協調シミュレーションソリューションです。Celsius Thermal Solverは、既存のソリューションに比べて、精度を犠牲にすることなく最大10倍の性能を提供する実績のある大規模並列型アーキテクチャをベースにしており、ケイデンスのIC、パッケージ、PCB実装プラットフォームとシームレスに統合できます。これにより、新しいシステム解析や設計の知見が可能になり、電子設計チームが熱に関する問題を設計プロセスの早い段階で検出、軽減するのを支援して、電子システム開発の反復作業を削減します。
マルチフィジックス・テクノロジ
特に3D-ICパッケージを組み込んでいるIC企業や電子システム企業は、最終段階での設計修正や反復作業を引き起こし、プロジェクトのスケジュールを狂わせるような大きな熱の難題に直面しています。電子業界が製品の小型化、高速化、高性能化、複雑化、電力密度の向上を進める中、複数の電力プロファイルや放熱の増加に対処するために、従来の定常解析と時間のかかる熱の過渡解析技術を合わせて使う必要が生じています。さらにプロセスを複雑にしているのは、従来の熱シミュレーションには電子装置とエンクロージャの簡易化モデルが必要で、その結果精度が下がることです。
Celsius Thermal Solverは、革新的なマルチフィジックス技術を使ってこれらの課題に対処しています。Celsius Thermal Solverでは、固体構造の有限要素解析(FEA)と流体の数値流体力学(CFD)を組み合わせることで、単一のツールで完全なシステム解析を可能にしています。
統合ソリューションと過渡解析機能
エンジニアチームは、PCBやICパッケージに対してCelsius Thermal SolverとClarity™ 3D Solver、Voltus™ IC Power Integrity、Sigrity™テクノロジを組み合わせて使うと、電気解析と熱解析を組み合わせて電気と熱の流れをシミュレーションして、従来のツールに比べて高精度なシステムレベルの熱シミュレーションが可能になります。さらに、Celsius Thermal Solverは、高度な3D構造内での実際の電力の流れに基づいて静的(定常的)および動的(過渡的)に電気・熱の協調シミュレーションを行い、現実世界のシステム動作に可視性を提供します。
Celsius Thermal Solverは、電子設計チームが早い段階で熱の問題を解析して熱解析を共有するのを支援することで、設計のリスピンを低減し、従来のツールでは不可能だった解析と設計の新しい知見を得ることを可能にします。さらに、Celsius Thermal Solverは、目的のオブジェクトの詳細な精度で大規模システムを正確にシミュレーションします。Celsius Thermal Solverは、ICとその電源供給部と同程度の小さな構造と、シャーシ程度の大きな構造とを一緒にモデリングできる初めてのソリューションです。