ケイデンス・デザイン・システムズ社(本社:米国カリフォルニア州サンノゼ市、以下、ケイデンス)は、7月19日(米国現地時間) 、PCB設計チームの設計サイクルを加速し、コストとパフォーマンスの最適化を可能とする新たな3D機能をサポートするCadence® Sigrity™ 2018 を発表しました。Cadence Allegro®テクノロジーにSigrityツールを統合し、3D設計および3D解析環境を実現することにより、サードパーティのモデリングツールを利用する既存の代替手段と比較して、エラーの発生が少なく効率のよいソリューションを提供します。この環境を利用することにより、設計サイクル時間を短縮しリスクを軽減することが可能です。さらに、新機能3D Workbenchユーティリティにより、製品開発チームは複数ボードを横断する信号の解析を実行することが可能になり、メカニカル領域と電気領域のギャップを埋めることができます。Sigrityに関するさらに詳細な情報は www.cadence.com/go/sigrity2018 をご参照ください。
多くの高速信号が複数のPCB間に存在するため、シグナルインテグリティ解析を効果的に実行するためには、信号源と接続先のダイ、介在する基板上の配線、そしてコネクター、ケーブル、ソケット、その他メカニカル構造を含むリターンパスなどの情報を考慮する必要があります。従来の解析テクニックでは、それぞれの配線内の要素に対して別のモデルを利用し、回路シミュレーションツールでこれらのモデルをカスケード接続して扱っていましたが、この方法ではPCBからコネクターへの3D的な信号伝搬により、エラーを引き起こしやすいものでした。さらに3D的な信号伝搬によっては、シグナルインテグリティを左右する可能性があるため、超高速デザインの設計者は、コネクターからPCBまたはソケットからPCBへの信号伝搬を最適化したいと考えています。
Sigrity 2018リリースでは、システム全体を包括的に考慮することを可能とし、高速伝送の最適化に影響を与える可能性があるすべてのコネクター、ケーブルなど、パッケージやボードを超えてデザインおよび解析を実行することができます。3D設計と3D解析の統合環境では、PCBおよびICパッケージの高速伝送系をSigrityツールで最適化し、最適化されたPCBおよびICパッケージの配線パターンをAllegro PCB、Allegro Package Designer、Allegro SiP Layout環境に自動で反映することができるため、インターフェイスを取る必要がありません。これまでこれらのバックアノテーション作業は手作業で行われ、エラーを起こしやすく、注意深く確認して行う必要がありました。Sigrity 2018リリースでは、このプロセスが自動化されたことにより、リスクを軽減します。デザインの作り直しや再編集にかかる時間を短縮し、試作品がlabに届く前の編集におけるエラーを排除することにより、設計サイクル時間の短縮が可能となりました。これにより、試作品のイタレーションを減らし、リスピンとスケジュールの遅れを回避することができるため、数千万円規模の開発費節減を可能にするポテンシャルがあります。
Sigrity 2018リリースで利用可能になった新たな3D Workbenchユーティリティによって、メカニカルなコンポーネントPCBやICパッケージといった電気設計の接続が可能になり、コネクター、ケーブル、ソケットとPCB引出配線を一体にしたモデリングが可能となり、基板上の配線を重複してモデリングすることがなくなります。配線のモデルは、2Dモデルとして十分表現可能なポイントで分割されます。必要な部分にのみ3D抽出を実行、残りの部分は高精度な2Dハイブリッドソルバー抽出を高速に実行し、その結果を再びつなぎ合わせることによって配線モデルが復元されます。そして複数ボードを横断する信号に対し、始点から終点までの完全なチャネル解析を効率よく、かつ高精度で実行可能です。
さらに、Sigrity 2018のリリースでは、Sigrity PowerSI®テクノロジーなどのフィールドソルバーに対してリジットフレキ基板をサポートし、リジッド基板材料からフレキ部分材料に渡る高速信号のロバストな解析を可能にします。リジットフレキ基板を開発する設計チームは、以前はリジッド基板設計にのみ使用されていたものと同じテクニックを使用できるようになり、PCB製造と材料プロセスを進化に追従して解析を継続することが可能となります。
Lite-On社コメント
Andy Hsu氏 (SBG R&D head) :
「Lite-On社では、Storage Business Group (SBG)が、ソリッドステートディスク・エンタープライズデータセンター製品の設計に注力しています。我々の超高集積デザインでは、シグナルインテグリティ、パワーインテグリティを考慮することがますます重要になってきています。2Dレイアウトおよび3Dコネクター構造のインテグレーションを向上させるために、Lite-On SBGは、Cadence AllegroのレイアウトおよびSigrityの抽出ツールとシームレスに使用可能なSigrity PowerSI 3DEMおよびSigrity 3D Workbenchをはじめとするケイデンスの3Dソリューションを採用することにより、設計サイクルを加速しました。我々のエンジニアは、より高精度で効率的にシミュレーションを実行することが可能となり、お客様本位の結果を提供可能です。」
ケイデンス・コメント
Tom Beckley (Senior vice president and general manager of the Custom IC & PCB Group) :
「Sigrity 2018のリリースは、ケイデンスの複数の製品チームから技術を強固に結集することにより、大きな一歩を踏み出しました。AllegroとSigrityチームの3Dテクノロジーを統合することにより、チップ、パッケージ、ボードのみならずメカニカルな構造も含めて、お客様が包括的な開発アプローチをとることで製品を最適化していただくことが可能になり、我々のSystem Design Enablement戦略は今後も進化し続けます。」